“第十届全国大学日语教师研修班”实施报告(日文)
高等教育出版社・北京日本文化センター共催「全国大学日本語教師研修会」は、2015年度に第10回目を迎えました。2015年8月に開催された研修会について報告します。
日程:2015年7月15日(水)~19日(日)
会場:厦門市 翔鹭国际大酒店(厦门市湖里区长浩路18号)
主催:国際交流基金北京日本文化センター、高等教育出版社、教育部全国大学教師ネット研修センター
テーマ:「第二言語習得研究と日本語教育」
※高等教育出版社と国際交流基金の企画による「日本語教育基礎理論と実践シリーズ叢書」『第二言語習得研究と日本語教育』に焦点をあてて、研修テーマを設定した。同巻主編である横山紀子講師、及び総主編の曹大峰教授、林洪教授、他の執筆者を中心として講師を選定した。
講師:
横山紀子 国際交流基金日本語国際センター専任講師
林璋 福建師範大学外国語学院教授
曹大峰 北京日本学研究センター教授
林洪 北京師範大学外国語言文学学院副教授
王文賢 中国海洋大学外国語学院教授
張文麗 西安交通大学外国語学院副教授
平田好 北京日本文化センター 日本語上級専門家
清水美帆 同 日本語専門家
小川佳子 同 日本語専門家
張碩 同 専任講師
賈一飛 同 非常勤講師
参加者: 大学日本語教師等 133名(79機関)
目的:
①日本語教育研究の動向を紹介する。
②日本語教授法、実践について考え、議論する場を提供する。
③研修参加者による情報交流を促進する。
内容:
①基調講演
「第二言語習得研究と日本語教育」 (横山紀子)
「第二言語習得と翻訳教育」 (林璋)
②研究発表
「Focus on Form指導の実証研究」 (張文麗)
「FonFの教室活動:ディクトグロスについて」(王文賢)
③パネルディスカッション
「第二言語習得研究と日本語教育」
④講義
「第二言語習得理論と授業活動設計」(林洪)
「第二言語習得理論と文法教育設計」(曹大峰)
⑤ワークショップ(3~4名のグループによる活動)
「第二言語習得理論を活かした授業を考える」
・基調講演、研究発表、講義の復習
・インプット中心の活動について考えるグループワーク
・アウトプット中心の活動について考えるグループワーク
・インプットからアウトプットへの流れに関するふりかえり
「第二言語習得過程に注目した教案作成」
各グループで、『基礎日語』、『新編日語』『総合日語』(第三冊:日本語主専攻2年生対象)より1冊を選び、第3課の授業(90分)の教案・ポスター作成。第二言語習得過程に注目して授業を設計することがポイント。
「ポスター発表」
各グループで発表。講師が講評を行った。
⑥教材紹介
JF日本語教育スタンダード準拠コースブック『まるごと 日本のことばと文化』
参加者の声:(アンケート自由回答より抜粋)
- 今後の授業で今回学んだ理論を活かしていきたい。
- 一番印象に残ったのは最後の教案講評だ。
- 今後の研究課題に視野を開いてくれた。
- SLAについての専門用語と理論を勉強してから教案作りの実践活動で全国からの先生たちと色々討論した。
- 「私たちは日本語教師であるとともに、教育者である」という横山先生の話に感心した。
- 林先生と曹先生の活動設計と質問の出し方に感銘を受けた。
- ワークショップでほかの先生と一緒に教案を作ったり、討論したり、またほかのグループの優れた先生方の発表を聞いて、今までと違う授業法を勉強してとても貴重な体験だった。
- FonFということばをはじめて聞き、今までの研究と授業活動に気づいたことがないことがまだまだたくさんあることを意識した。従来の授業でインプットということに集中しがちなやり方だと思うが、明示的知識は暗示的知識に移行するには、インプットの仕方に工夫しなければならないだけでなく、気付き、インターアクションそしてアウトプットにもどういう工夫をするのかも考えなければならない。