たくさんのご応募ありがとうございました! 審査の結果、以下の先生方が各賞に選ばれました。おめでとうございます!!
最優秀賞の方には『国際交流基金 日本語教授法シリーズ』全巻セット、優秀賞と努力賞の方には授業に役立つ日本語教材をお送りしました。
主催 : 国際交流基金北京日本文化センター
応募資格 : 2017年から2020年に国際交流基金が実施した研修会(主催または共催)に参加した経験がある中等日本語教師
応募期間 : 2020年6月15日(月)~7月17日(金)
審査員 : 国際交流基金北京日本文化センター 日本語教育専門家
応募総数 : 48件
★「教案」をクリックすると、入賞者の教案が見られます。
◆最優秀賞(1名)
上海外国語大学閔行外国語中学 劉照利 先生 教案
協働学習を積極的に取り入れることがとてもよかったと思います。また、この授業の目標を達成するために、導入からまとめまでの流れや教室活動も工夫が見られました。例えば、導入では身近な経験について学習者に問いかける形で学習者のスキーマを活性化させた上で、授業内容につなげる活動を行った点。ほかに、教科書の会話文をそのまま読ませるのではなく、いくつかの部分に分けて、グループで話し合い、会話の構成に注目させながら会話の順番を考える活動も良かったです。最後に、授業目標が達成できたかどうかを評価シートで確認し、フィードバックを行うこともとてもよかったと思います。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 王崇梁)
◆優秀賞(4名)
佛山市顺德区龙江中学 邵艺婷 先生 教案
どんなことに気をつけて書けばよいのか生徒が理解できるように、作文を書く前に評価の基準を提示していた点がよかったと思います。マインドマップの作成やリレー形式での作文、隣のグループの作文を基に絵を描く活動や生徒同士で作文を推敲するピアライティングなど、生徒が「作文を書く」ということに苦手意識を持たないよう全体を通して様々な工夫がされており、楽しそうに授業に参加している生徒の様子が想像できました。ただ、45分という授業時間の中で全ての活動を取り入れるには少し時間が足りないようにも思います。どの活動に重点を置くのか、その活動を十分に行うためにはどのぐらいの時間が必要かという点から取り入れるべき活動を考えてみるといいのではないかと思います。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 藤井舞)
上海市甘泉外国語中学 張莉 先生 教案
授業内容は、本文読解素材を使って、前半は文法、後半は談話展開の理解を中心とした活動から構成されています。形の重視でありながら、細かな工夫があり、教師からの言語知識の提供中心ではないこと、変化を表す文型の導入という小さなことから、比較的長い談話練習の練習までが上手につながっていることが「推し」の最大のポイントです。
具体的には、文法形式に注意させ、気づきを促す質問やヒント、質問の後で、知識を整理するスライドの提示があること、理解の程度が異なる学習者への配慮も盛り込まれていることが挙げられます。
最後に小さな改善点としては、言語能力の到達目標が「上海の変化について簡単に話す」となっていて、クラスメートや教師の評価が取り入れられていますが、最後のCan-doチェックや振り返りでは、この活動をすることによってこの部分ができるようになったということがより具体的に学習者に実感できる工夫があるとよいでしょう。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 大脇元)
蘇州科技城外国語学校 李芳芳 先生 教案
『まるごと』を使って、学習者に文法のルールを発見させたり、応用練習で実際の場面に近い会話の練習をさせたりなど、いままでの伝統的な教え方と全く違う教え方にチャレンジした点が大いに評価できると思います。また、授業目標が達成できたかどうか評価シートを利用した学習者による自己評価の活動もよかったと思います。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 王崇梁)
黄岡市外国語学校 黄華 先生 教案
授業の最初に学習目標を提示していたので、今日勉強する内容のゴールが生徒にもわかりやすかったと思います。導入では、生徒が自分でルールを見つけ出せるよう工夫されていてよかったと思いますが、ここでは生徒は頭の中でルールを探し出そうとしているので、アウトプットを求めずインプットだけでもよかったのではないかと思います。練習では、形の定着だけでなく実際に自分で文を作ってみる練習も取り入れており、「文法が使えるようになるための練習」としてよく考えられていました。七夕についての活動も、単に習った文法を使うだけの活動ではなく文化意識を育てることにもつながっており、生徒も楽しく取り組めるだろうと思いました。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 藤井舞)
◆努力賞 (4名)
北京市月壇中学 黄敏 先生 教案
スキーマの活性化のための前作業から、関連する話題について話し合う後作業まで、授業が適切に段階的に構成されていて、各段階で学習者が自分で考える、内容理解や異文化理解を目的とした活動が盛り込まれているところが評価ポイントです。また、話し合う活動で、複数のグループで話し合い、理解を深めて共有する工夫は、グループ活動をするときの参考になります。また、自己評価のCan-doの前に、発表したり、他の学習者の複数の発表を聞くことは効果的です。さらに工夫できるところとしては、イラストを見せて予測させる活動に加えて、テープで聞いて内容をまとめる活動がスムーズにできるように準備する活動があるとなおよいと考えます。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 大脇元)
佛山市顺德区龙江中学 楊詩雲 先生 教案
生徒が何をするのかという指示が明確で、とてもわかりやすかったです。「春節の過ごし方」について、教科書の内容から自分の身近な話題へと段階を踏んだ流れとなっていた点もよかったです。グループでの話し合いを通して、春節の過ごし方についての理解を深められたと思いますが、伝統的な過ごし方と新しい過ごし方の違いだけでなく、「なぜ、変わったと思うか」などについて自由に話し合いをさせてもよかったかと思います。「研修会でどんなことを学び、どのように授業に活かしたか」の部分にも書いてありましたが、作文を書くことが自分の考えを実際に言葉で表してみるということにもつながりますので、ぜひ実践してみてください。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 藤井舞)
中山市小欖中学 阮真 先生 教案
前作業で質問やイラストから内容を推測させる活動があり、トップダウンの過程で聴解の授業が組み立てられています。また、「聞く」と「話す」活動が適切に結び付けられています。異文化理解についても、中国と日本の対比を整理するだけでなく、より発展させて、中国の学習者でも異なることについて発表させていることは、まさに相互理解につながる活動だといえます。課題としては、グループ活動について、それぞれの活動について、「学習者同士で答えを発見する」、「異なる意見に触れる」といった目的が明確になっていると、「協働学習」として効果的な授業の設計ができると考えます。また、後半の活動がスムーズに進めるための発表表現の確認の活動があるとよいでしょう。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 大脇元)
成都外国語学校 王恬静 先生 教案
イラストを使って学習内容を推測させる方法がよかったと思います。教室で教師が何でも一方的に教えるのではなく、学習者に考えさせれば、学習意欲を高めることにもつながります。また、授業ではいろいろな活動を通して、学習者が新しい文型を使えるまで練習することもよいと思います。学習者にとって達成感が得られることが大事です。
(北京日本文化センター日本語教育専門家 王崇梁)
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